「そんなの無理だよ…」

姫乃は涙が出てきた。

「歯ブラシを捨てられていて凄くショックだったのに」

「あれは使い捨てだし、2ヶ月も置いておけないだろ?」

「だって……もう…太志さん、分かりずらいよ、私自身も使い捨てかなってかなり落ち込んだんだから」

太志さんは言葉にしてくれないからーと言うと俺はおしゃべりじゃないからなと言った。

「そこもいいんだけどね(笑)」

姫乃は泣きながら笑った。

「どっちだよ(笑)」

太志はシャワーを貸してくれと言ったのでその間に姫乃は近くのコンビニで必要なものを買ってきた。

シャワーから出ると姫乃の歯ブラシの隣に色違いの歯ブラシが立てられていた。


「ふっ、可愛いやつ」


太志さんがシャワーから出てくると軽くキスを口唇にくれた。

あっ……歯磨き粉の匂い、使ってくれたんだ。

言わずにキスで教えてくれるのもかっこいいんですけど…

「なぁ、姫乃」

「はい」

「今度の休みに兄貴夫婦に会ってくんない?」

「ん?ご両親じゃなくて?」

「今は代替わりしてるから」

「それでも、私は『宮乃』と結婚する訳じゃないんだから宮野太志さんを育ててくれたご両親にご挨拶でしょ(笑)」

「そうか……」