次の日、受付から『宮乃』さん来られましたと内線電話を受けて姫乃は洗いの着物を持って1階におりた。
「お待たせ…しま…した」
見覚えのある高身長の後ろ姿が目に入ってきた。
私の声が聞こえたのか彼は振りむきそして驚いた顔をする。
「いらっしゃいませ」
お客様がちょうど見えて受付の人の声で我に返った。
「えっと……」
太志も荷物をテーブルに置き、椅子に座る。
姫乃はたとう紙を開けた。
「暑さで汗ジミが多いのと、この子供用の着物なんですが飲み物をこぼしたようです、お願いします」
「わかりました」
優しい話し方に姫乃は泣きそうになっていた。
「急ぎはないですか?」
「大…丈夫…です」
姫乃は後ろを向いて目頭を押さえた。
姫乃は勝手に太志が来るのはまだだと思っていた。
前の担当の人が変わる時に言ってくれると勝手に誤解してた。
試験が終わったからいつ来てもおかしくはなかったのに全然覚悟が出来てなかった。
「そうだ、下ろし忘れたものがあったかも」
太志はそういうと取りに来てもらってもいい?と姫乃に言った。
太志の後について店を出た。
車に荷物を積むとスライドドアを閉めた。
えっ?荷物は?