まさかグリアが、代償を伴う儀式を『2つ同時に』行っていたなんて…。
だが、亜矢が一番に感じたのは衝撃でも疑問でもなかった。
「なんで……そんな事したのよっ!?」
「悪いかよ。オレ様の気分だ」
「悪いわよっ!!」
亜矢は、バンッ!!と両手でテーブルを叩き、目の前のグリアに向かって身を乗り出した。
その気迫に押されたグリアは、少し身を引いた。
「儀式の代償で、あんたが転生できなくなっちゃうのよ!?なんで、そんな事……」
怒りというよりは悲しみをこらえているようで、目に涙を浮かべている。
グリアは、あぁ……と亜矢の言葉と涙の意味を納得した。
亜矢は、いつも自分よりも他人を優先する。
強くて心優しい…そういう女だったと。
そういえば400年以上前に出会ったアヤメにも同じ瞳を向けられたな、と。
「その事なら、心配いらねえ。……いや、心配なくなった」
「………え?」
「魔王とオレが、同じ人間の魂に対して『魂の輪廻』の儀式を行ったからだ」
「そうだけど……どういう事になるの?」
魔王が『魂の輪廻』の儀式を行ったのは、アヤメに対して。
グリアが『魂の輪廻』の儀式を行ったのは、亜矢に対して。
儀式の条件である1年間の『口付け』。
魔王はアヤメの唇に、グリアは亜矢の唇に。
別々の人物が、別々の体に行ったのだ。
だが、アヤメと亜矢の魂は同一である。
同一の魂に対して、別々の二人が、別々の体に対して行った同じ儀式。
これが、もたらす結果とは……
「亜矢とアヤメは今後、別々の魂となって、それぞれ転生する」
それによって、本来の儀式の形式からは外れて、術者が受けるはずの代償は無効になる。
魔王もグリアも、転生が可能となる。
偶然とは言え、奇跡の巡り合わせにより、この結果がもたらされた。
その事実を聞いた時……全ての不安・悲しみから解放された亜矢の感情が一気に溢れ出た。
「………良かったぁ………」
亜矢は一気に脱力して、テーブルに伏して涙を流した。
これで、魔王は永遠にアヤメと結ばれる事が出来る。
そして、グリアも………
「ん?」
亜矢は一瞬にして涙を止めて、顏を上げた。
(あれ……?あたしは?あたしは、死神と永遠に結ばれる……?)
目の前には、何事もなかったかのように湯呑みを持ち、お茶をすするグリア。
フゥっと一息つくと、ニヤリと笑った。
「あんたみたいに退屈しねぇ女は、そういねえからな。永遠に楽しませてもらうぜ?」
亜矢は再び、バンッ!!と両手でテーブルを叩いた。
今度は、いつもの亜矢らしい強気な眼でグリアを睨みつけた。
「なんで、あんたに永遠に遊ばれなきゃならないのよ!?冗談じゃないっ!!」
「もう儀式は終わってるんだぜ、諦めるんだな、クク……」
「いや~!!取り消して!!今までのキス、全部返して!!」
「キスした覚えはねえなぁ~口移しの記憶しかねぇ」
「どっちも同じよ、バカ~~!!!」
いつもらしい二人が戻ってきた。
転生を繰り返すのはいいとして、その後に誰と結ばれるかは、亜矢次第。
だが、この死神から逃れるのは難しいだろう……。
だが、亜矢が一番に感じたのは衝撃でも疑問でもなかった。
「なんで……そんな事したのよっ!?」
「悪いかよ。オレ様の気分だ」
「悪いわよっ!!」
亜矢は、バンッ!!と両手でテーブルを叩き、目の前のグリアに向かって身を乗り出した。
その気迫に押されたグリアは、少し身を引いた。
「儀式の代償で、あんたが転生できなくなっちゃうのよ!?なんで、そんな事……」
怒りというよりは悲しみをこらえているようで、目に涙を浮かべている。
グリアは、あぁ……と亜矢の言葉と涙の意味を納得した。
亜矢は、いつも自分よりも他人を優先する。
強くて心優しい…そういう女だったと。
そういえば400年以上前に出会ったアヤメにも同じ瞳を向けられたな、と。
「その事なら、心配いらねえ。……いや、心配なくなった」
「………え?」
「魔王とオレが、同じ人間の魂に対して『魂の輪廻』の儀式を行ったからだ」
「そうだけど……どういう事になるの?」
魔王が『魂の輪廻』の儀式を行ったのは、アヤメに対して。
グリアが『魂の輪廻』の儀式を行ったのは、亜矢に対して。
儀式の条件である1年間の『口付け』。
魔王はアヤメの唇に、グリアは亜矢の唇に。
別々の人物が、別々の体に行ったのだ。
だが、アヤメと亜矢の魂は同一である。
同一の魂に対して、別々の二人が、別々の体に対して行った同じ儀式。
これが、もたらす結果とは……
「亜矢とアヤメは今後、別々の魂となって、それぞれ転生する」
それによって、本来の儀式の形式からは外れて、術者が受けるはずの代償は無効になる。
魔王もグリアも、転生が可能となる。
偶然とは言え、奇跡の巡り合わせにより、この結果がもたらされた。
その事実を聞いた時……全ての不安・悲しみから解放された亜矢の感情が一気に溢れ出た。
「………良かったぁ………」
亜矢は一気に脱力して、テーブルに伏して涙を流した。
これで、魔王は永遠にアヤメと結ばれる事が出来る。
そして、グリアも………
「ん?」
亜矢は一瞬にして涙を止めて、顏を上げた。
(あれ……?あたしは?あたしは、死神と永遠に結ばれる……?)
目の前には、何事もなかったかのように湯呑みを持ち、お茶をすするグリア。
フゥっと一息つくと、ニヤリと笑った。
「あんたみたいに退屈しねぇ女は、そういねえからな。永遠に楽しませてもらうぜ?」
亜矢は再び、バンッ!!と両手でテーブルを叩いた。
今度は、いつもの亜矢らしい強気な眼でグリアを睨みつけた。
「なんで、あんたに永遠に遊ばれなきゃならないのよ!?冗談じゃないっ!!」
「もう儀式は終わってるんだぜ、諦めるんだな、クク……」
「いや~!!取り消して!!今までのキス、全部返して!!」
「キスした覚えはねえなぁ~口移しの記憶しかねぇ」
「どっちも同じよ、バカ~~!!!」
いつもらしい二人が戻ってきた。
転生を繰り返すのはいいとして、その後に誰と結ばれるかは、亜矢次第。
だが、この死神から逃れるのは難しいだろう……。