亜矢とグリアとコランが夕飯を食べ終わった後。
コランには少しの間だけ、寝室の方に居てもらう事にした。
グリアと二人きりで話をしたかったからだ。



テーブルに向かい合い、亜矢は両手を膝の上に置いて姿勢を正した。
グリアは呑気に湯呑みを両手で持ち、食後のお茶をすすっている。
亜矢は、いつもの癖でお茶を出してしまった事を後悔した。
全く緊張感がない……。

「これまでの事を話すわ。お願いだから、黙って最後まで聞いてよね?」

亜矢が思い切って切り出した。グリアは眉一つ動かさない。
そんな調子のグリアが先に言葉を繋げてきた。

「その前に、あんたに聞きたい事がある」
「え、な、なに……?」

グリアまで真面目な顏になって改まるもんだから、亜矢はさらに緊張した。

「さっき、なんでエプロンで外に突っ立ってた?」
「……ん?………エプロン……??」

亜矢は色々思い返してみて、やがて「あっ!!」と思い当たった。

(それ……あたしじゃない、アヤメさんだわ!!)

こういう事態になるから、早くグリアに事情を話すべきだったのに…。
それ以前に大変な事に気付いてしまった亜矢は慌てる。

「ふっ……服着てたっ!?」
「はぁ?何の事だよ」
「え、エプロンの下よっ!!何か着てた!?」
「当然だろ、自分で覚えてねえのかよ…正気か?」

いや、そこまで言わなくても…と亜矢は思うが、とりあえず裸エプロンでなくてホッとした。
これまでの一連の自分の言動が確かに異常だっただけに、グリアのキツいツッコミに反論できない。
……変な人を見るかのような、グリアの視線が痛い。
早く、全てを話して楽になろう……
亜矢は気を取り直した。