少し城内を歩くと、広間に出た。
そこでは沢山の人達が正装をして、賑わっていた。
その奥に、魔王はいた。
そして、いつの間に着替えたのか、スーツ姿のグリアも。
亜矢はコランと手を繋ぎキョロキョロしながら歩いていたが、魔王とグリアの姿を見つけると、早足で歩み寄る。
「魔王!これってなんのパーティーなの?」
そう問いかけても、魔王とグリアはこちらを凝視したまま、表情も変えずピクリとも動かない。
(え、な、なに、どうしたの??)
亜矢は訳が分からず、いつもらしくない二人を目の前に自身も硬直する。
同時に、コランも不思議そうな顔をして亜矢を見上げる。
魔王とグリアは、亜矢のドレス姿に見愡れていたのだ。
黒のドレスに身を包みながらも、輝かしい美しさを放つ少女の姿に。
ようやく、魔王がいつもらしい余裕の笑みを浮かべて亜矢に近寄る。
「似合うぜ。綺麗だ、亜矢」
亜矢はドキっとして少し顔を赤らめる。
コランにも言われた言葉なのに、魔王に同じ事を言われると何故か本気で恥ずかしい。
「これは、オレ様の生誕パーティーだ。存分に楽しんでいけよ」
つまり、今日は魔王の誕生日パーティー、という事だろう。
「魔王の誕生日?あなたって一体、何歳なの?」
「さあな……何千、いや何万だったかな?忘れちまったぜ」
それは、亜矢をからかっているのか。いや、魔王の事なので冗談でもない。
なんていい加減な!と亜矢はツッコミたくなったが、何故かおかしくて微笑んだ。
ふと、広間に優しい曲調の音楽が流れてきた。
ダンスの時間の始まりなのだ。
気付くと、魔王の周りには沢山の女性が集まり、ダンスの相手を求めていた。
魔王は、やはり魔界でも女性を引き付けるのだ。
魔王という地位によるものだけではない。彼そのものの魅力が、人を引き付ける。
それはまるで、不思議な魔力のよう。
そんな魔王を驚きの目で見ながら、亜矢は圧倒されて少しだけその場から離れた。
すると、誰かがふいに亜矢の手を取った。
驚いて正面を見ると、そこには自分を見下ろすグリアの姿。
「え……?死神?」
「一曲、踊れ」
そう言うとグリアは少しばかり強引に、でも優しく亜矢の腰を引いた。
「え?あんた踊れるの?」
「人並みにな」
「あんたは人じゃないでしょ」
今までの緊張が解けた気がして、小さく亜矢は笑った。
何故だろうか。
不思議なくらい素直に、導かれるままに亜矢はグリアの肩に手をかけ、踊り始める。
口調こそ乱暴だが、スーツを纏ったグリアはいつもよりも紳士的に見える。
踊り始めてしばらくすると、グリアは亜矢の耳元に顔を近付け、小さく囁いた。
「このまま庭へ行くぞ」
「え?」
亜矢はグリアを見上げるが、グリアは変わらず平然とした顔をしていた。
音楽に合わせて踊りながらも、グリアの歩む方向に誘導され、少しづつ広間の端へと行く。
そこでは沢山の人達が正装をして、賑わっていた。
その奥に、魔王はいた。
そして、いつの間に着替えたのか、スーツ姿のグリアも。
亜矢はコランと手を繋ぎキョロキョロしながら歩いていたが、魔王とグリアの姿を見つけると、早足で歩み寄る。
「魔王!これってなんのパーティーなの?」
そう問いかけても、魔王とグリアはこちらを凝視したまま、表情も変えずピクリとも動かない。
(え、な、なに、どうしたの??)
亜矢は訳が分からず、いつもらしくない二人を目の前に自身も硬直する。
同時に、コランも不思議そうな顔をして亜矢を見上げる。
魔王とグリアは、亜矢のドレス姿に見愡れていたのだ。
黒のドレスに身を包みながらも、輝かしい美しさを放つ少女の姿に。
ようやく、魔王がいつもらしい余裕の笑みを浮かべて亜矢に近寄る。
「似合うぜ。綺麗だ、亜矢」
亜矢はドキっとして少し顔を赤らめる。
コランにも言われた言葉なのに、魔王に同じ事を言われると何故か本気で恥ずかしい。
「これは、オレ様の生誕パーティーだ。存分に楽しんでいけよ」
つまり、今日は魔王の誕生日パーティー、という事だろう。
「魔王の誕生日?あなたって一体、何歳なの?」
「さあな……何千、いや何万だったかな?忘れちまったぜ」
それは、亜矢をからかっているのか。いや、魔王の事なので冗談でもない。
なんていい加減な!と亜矢はツッコミたくなったが、何故かおかしくて微笑んだ。
ふと、広間に優しい曲調の音楽が流れてきた。
ダンスの時間の始まりなのだ。
気付くと、魔王の周りには沢山の女性が集まり、ダンスの相手を求めていた。
魔王は、やはり魔界でも女性を引き付けるのだ。
魔王という地位によるものだけではない。彼そのものの魅力が、人を引き付ける。
それはまるで、不思議な魔力のよう。
そんな魔王を驚きの目で見ながら、亜矢は圧倒されて少しだけその場から離れた。
すると、誰かがふいに亜矢の手を取った。
驚いて正面を見ると、そこには自分を見下ろすグリアの姿。
「え……?死神?」
「一曲、踊れ」
そう言うとグリアは少しばかり強引に、でも優しく亜矢の腰を引いた。
「え?あんた踊れるの?」
「人並みにな」
「あんたは人じゃないでしょ」
今までの緊張が解けた気がして、小さく亜矢は笑った。
何故だろうか。
不思議なくらい素直に、導かれるままに亜矢はグリアの肩に手をかけ、踊り始める。
口調こそ乱暴だが、スーツを纏ったグリアはいつもよりも紳士的に見える。
踊り始めてしばらくすると、グリアは亜矢の耳元に顔を近付け、小さく囁いた。
「このまま庭へ行くぞ」
「え?」
亜矢はグリアを見上げるが、グリアは変わらず平然とした顔をしていた。
音楽に合わせて踊りながらも、グリアの歩む方向に誘導され、少しづつ広間の端へと行く。