「はふー・・・腹いっぱい」
「もう、食べた後に寝転がらないの」
琉亜が置いてあるソファに寝転がり、それを零亜が注意する。
一見微笑ましい光景だけど、いや、微笑ましいんだけど。
状況がすごかった。
お昼、凛亜たちに連れられて庭に来たんだけよ
そこにはバーベキューセットにプール、サウナやソファ、極めつけにベッドなんて置いてあった。
ただでさえ広い庭なのに、そこに置いてあるものがおかしすぎる。
一般家庭なんかじゃない。
ってか、上流階級過ぎる。
この世界が中世ヨーロッパだったら、間違いなく皇族の皇太子だよもう。
私は平民だね、防具でも売ってるかな。
で、野垂れ死にでもしてるんだろーね。
つーか孤児かも。
路地裏で彷徨ってるんだよ、ひぃ。
「蓮雅」
突然零亜に名前を呼ばれ、私は振り返る。
「なに~?」
「一緒にプールはいる?」
「え?いや、いいよ」
「・・・お願いくらい聞いて見たかったんだけどなぁ」
これだからプレイボーイは・・・。
無意識かもしれないけどこれで女子を魅了してるんだよな・・・あぁ怖い怖い。
「なに言ってんだよ!どーせお前のコトだから蓮雅の着替えでものぞき見すんだろー?」
琉亜が冗談っぽくそう言うと、零亜は頬を赤く染めた。
「そっそんなコトないし・・・。ねぇ凛亜、琉亜のコトどうにかして?」
「・・・無理」
短くお兄ちゃんに断られ、零亜は不満げ。
「お兄ちゃんでしょ、弟のお願いくらい聞いて弟を止めるくらいしてよ」
「・・・蓮雅の願いしか聞かない」
「・・・蓮雅、お願いしてもらってもいい?」
凛亜の言葉に零亜は私を見て手を合わせてきた。
「いやぁ・・・仲が良いのはいいコトだよ。凛亜も弟たちのコト信頼してるんじゃない?ほら、『零亜なら琉亜を止められる』とか信じてそうだし」
どうだ!とずばり言ってみると、ハンモックに寝転んでいた凛亜の目元が赤く染まる。
あら~・・・不愛想な凛亜にも可愛いトコあるじゃ~ん。
・・・なんて言ったら凛亜も家でお留守番してもらってるみんなも拗ねちゃいそうだから言わないけど。
「・・・中入るぞ」
のっそりハンモックから降りた凛亜は視線で零亜にクラスメイトに伝えるように言い、1人で中に入って行く。
「じゃあ私も先にお暇するね」
「俺も蓮雅と行くわ」
琉亜もソファから起き上がり、私と凛亜に続いた。
「なんでこーゆーの俺ばっかりに任せるの・・・」
疲れ切ったような顔で零亜が言い、可愛そうになった私は零亜の頭を撫でて笑い、手を振った。
「蓮雅・・・!癒しの天使だ・・・」
・・・んな大袈裟な。
「零亜はお兄ちゃん達に信頼されてるんだね」
「ふっ・・・絶対違うけど・・・ありがとう」
零亜は機嫌が直ったのか、ニコニコしながらわーわーはしゃいでる男子やメイドさんを手伝って片付けをしているクラスメイト達の方へ歩いて行った。