次の休み時間、亜美がすっ飛んできた。
「聞いた、聞いた、聞いた〜⁉︎ 七夕に、お祭りあるんだって〜!私たちの班ね、校外学習の前に仲良くなろうって目的で、班のみんなで行くんだ〜。ね、乙音?」
「うん。あたしたちの班、まとまりがあっていいよね!」
「ねぇ、奈那。私たちも行かない?今のところ、班はビミョーにまとまってない感じじゃん?」
いつの間にか乙音と香織が集まって来て、楽しそうに言う。
「どっちでもいいよ」
「班のみんなに訊いてくるね」
香織が創紀に訊きに行こうとするから、
「じゃあ私、雅空に訊いてくるね!」
と自然に言葉が出て来た。
雅空は、空を眺めていた。
「雅空」
「うわっ、ビックリした!」
「そんなに?えっと、七夕って予定、あいてる?お祭りがあって、班のみんなで仲良くなろうってことらしいんだけど」
思わず早口になってしまった。
なんでこんなにドキドキしてるの?
別に他人の男子が、いけなくても別にどうでもいいことなのに。
「ん、あいてる。いける」
やった‼︎
思わず口をふさぐ。
声に出てなかったかな?
「何やってんの」
「心の声、もれてなかったかなって」
たぶん、今の私の目は泳いでいると思う。
「何、そんなに俺が来るのが嬉しかった?」
「ち、違っ…!」
「顔真っ赤にして。相変わらず、おもしろいな」
雅空がそう言った直後に、香織から、
「創紀は行けるってー」
と報告があった。
「雅空もOKだって」
「じゃあ、4人で行けるね!楽しみ〜」
結局は、私が誕生日ってこと、忘れられちゃってるんだな。
…まぁ別に、悲しくはないけど。
私は軽く下唇を噛んだ。
「どうした?大丈夫、奈那」
「うん。…なんで?」
どうしてバレたんだろう。…密かに、悲しんでいたことに。
「だって奈那って、苦しいときとか、辛いとき、悲しいときとかに下唇を噛んでるんだよ」
「そう、なんだ…ありがとう。大丈夫だよ」
本当によく香織は見てくれてるなぁ。
「それならよかった」
香織は微笑むと、創紀と話し始めた。