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「夏休みにデートしたくて告白? 誰に?」
私たちはショッピング・モールのフードコートにいた。
幼い子ども連れのファミリーと、私たちのような高校生で席はほぼ埋まっていた。
しかし、どこのテーブルも自分たちのおしゃべりに夢中で、ガヤガヤしている。
それに呼び出しベルも、そこら中で鳴っている。
だから失恋話だって気兼ねなくできた。
「誰だっていいじゃない」
「その前に宮下さんって、恋愛に興味ある人だったんだ?」
「恋愛に興味があったとかじゃなくて、夏川くっ……!」
慌てて両手で口を抑えたけれど、その名前はすでに空気中へ放たれたあとだった。
神林くんの片眉が上がった。
「ふーん?」
「コホンッ! ……そういうのじゃなくて、あの人だから好きになったってだけ」
ハンバーガーとセットで頼んだ野菜ジュースを、ストローで一気に吸った。
ズボボボボボ……と傷心の乙女には相応しくない音を立ててしまった。
すると、神林くんは張り合うように牛丼をかき込んだ。
それからは私たちは、競争するかのようにガツガツと食べた──