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ただ見つめるだけの片思いから、もう1歩踏み出す勇気を出せた(今となっては“出してしまった”)きっかけ──
それは、名前も知らない3年生の会話を耳にしたことだった。
「あーあ。2年生のうちから付き合ってたら、夏休みもいっぱいデートできたのかなー」
「それ! 私も後悔してる。でも、そっちはまだいいよ。私なんて、お互い第一志望に受かったら遠距離になるんだよー」
そんなこと、私に起こりっこないってわかっていた。
あのときの私は、どうかしていたに違いない。
夢をみてしまったのだった。
もし、万が一にでも、私に夏川くんと付き合えるチャンスがあるとしたらって──