どうやら、このモヤモヤとした気持ちの結末は自分がつけないといけないみたいね。

「王太子さま、提案がございます。聖女としてこの二人を許したく存じます」
「何だって⁈ 許すだと!」
「はい、許します。そしてわたくしが……ルイ家が面倒を見ようと思います。彼女たちまで国外追放するのはあまりにも理不尽と言うもの」

思いもよらない言葉にモモシャリーとサラーニャは驚きの声を上げた。

「えっ⁈ そ、それって私たちと同じことをなさるのですか⁈」
「せ、聖女さま、それはどうかお許しください! 数々のご無礼、本当に申し訳ございませんでした!」

二人は完全に怯えていた。

「サラーニャは貴女を殺そうとした。その罪は償わなければならない。無論、モモシャリーも同罪だ」
「では罪を償ったのちには、わたくしの女官になって頂きます。二人とも行くところがないでしょうから」
「貴女がそうしたいなら私は反対しない」
「ありがとうございます。モモシャリー、サラーニャ。いいこと? しっかり罪を償うのよ。それとわたくしは貴女たちと同じことはしないつもりです」

しないつもり──。たぶんね。だってわたくし聖女ですもの。女官は形だけよ。友人として付き合ってもらいます。

「わ、わかりました……聖女さまに従います」

モモシャリーとサラーニャは国王陛下をはじめ、貴族院の同級生たち、騎士団の前で土下座してひれ伏せた。

さぁ、わたくしはこれからこの国の幸せを願ってお祈りの日々を過ごすことになるのね。

『やっと僕の、いや、おいらの役目が終わったか。三千年の時を経て蘇ったララコよ、幸せにな!』
『アプレン、貴方のことも思い出しちゃったわ。魂を拾ってくれてありがとう。それに心配してこの世界まで来てくれたのね。うふふ』
『あぁ、しっかり見届けたぞ。じゃあなー』

ふと、そよ風が宮殿の中に入ってきてわたくしの長い髪をなびかせた。今、この世界でわたくしは生きている。確かに生きていると実感した。

──そう、前世の仲間とともにこれからも。

婚約破棄された悪役令嬢は、階段から突き落とされ記憶を失う。気がつけば召使いに~

        ── 完 ──