「タカフミィーニ、お前……血迷ったか⁈」
「セェレ殿、あなたは団長という立場を利用し、刑罰金を不正に着服していましたね。それをゼアス公爵に献金し、見返りに騎士団への助成金の一部を受け取っていた」
「ん⁈……し、知らん⁈ 何のことだ⁈」
「証拠も抑えています。とても残念ですが……」

団員たちがセェレを取り囲み、その手には縄があった。

「おのれ、お前に何の権限があるんだ⁈」
「これは国王陛下の王勅(命令書)です」
「こ、国王だと⁈」

タカフミィーニさまは王勅をセェレに見せた。

「一つ、セェレ団長を解任して反逆罪で捕らえよ」
「あ……あぁっ!」
「まだあります。二つ、新たな騎士団長に私、タカフミィーニを命ずると……つまり私には権限があります」

セェレは絶望の眼差しを浮かべ、その場に座り込んだ。

「お前が団長……お前は何者なんだ? 一体誰の命で動いている⁈ なぜ王勅を持っている⁈」
「私は国王陛下直属の諜報員ですーー」

えっ、タカフミィーニさまって陛下直属の部下だったの⁈

「なるほど……王家はゼアス家を潰すつもりか……ふふふ、一見平和に見えるこの国は汚職まみれだ。大混乱するぞ。ゼアスさまの恩恵を受けている貴族はたくさんいる。まあ、私はもう終わりだが……」

セェレは失意のまま、罪人として縄を後ろ手に縛られ連行されて行く。

「あ、ちなみにあなたがゼアス家から依頼されて襲ったルイ家のお嬢さまですが……王勅にはこう記されています。三つ、ララコスティをゼアス家から解放する、です」
「……そうか。じゃあ縄を解いてやってくれ」
「そのつもりです」
「えっ、えっ⁈ タカフミィーニさま? わたくしの労役は終わりですか⁈」
「はい。今回の働き、陛下は大層お喜びでした。よってあなたは自由です。ルイ公爵さまも近々ご帰還されますので、お屋敷まで我々がお送りいたしましょう」
「何と⁈ 父上、母上さまが⁈」

わたくしは自然に涙が溢れてきた。

「ララコスティさま、良かったですね!」
「ア、アプレン、いつも側にいてくれてありがとう」
「いえ、僕は……その」
「これからも、わたくしの側にいてくれるかしら?」
「えっ⁈」
「一緒にルイ家へ参りましょう」
「は、はいっ! 喜んでお供します!」

永遠に続くと思っていた「召使い」という労役はあまりにもあっけなく終わりを迎えた。……第一王子に婚約破棄された罪はこれで償ったのね。

あー、長かったよー、辛かったわー!

さぁて、これからどうしましょう⁈