思ったよりも蔑む視線や言葉に心が折れそうになるわ。あれから数人と会ったけれど、みんな辛辣ね……。

「貴族院の首席でいつも華やかだった御令嬢がボロ服を着て生き恥を晒すなんて。うふふ、笑わせないでくださる⁈」

「王子まで取られちゃったの? 惨めね!」

「悪役令嬢の末路ね。ざまあみろですわ!」

……つらい。

「ララコスティさま、気にすることないですよ。元気を出してください」
「ありがとう、アプレン。大丈夫よ」

そう、わたくしはもともと嫌われ者だったから仕方ない。次期王妃ということで皆さんが一目置いていただけなのよ。はぁ……。

気を取り直して同級生のお屋敷に向かい、曲がり角に差し掛かった。その時、ふと大事なことに気がついた。

「あっ、この先にわたくしのお屋敷があるわ」
「ララコスティさまの? 寄ってみてはいかがです? 少し休憩しましょう」

そうね……というか、自分のお屋敷がどうなっているのかとても気になるわ。タカフミィーニさまのお話だと騎士団が警護していると言うし。そもそもお屋敷に誰かいるのかしら?

程なくして、ルイ公爵邸の前にたどり着いた。確かに騎士が二人立っていた。わたくしはアプレンとともに「ご苦労様で〜す」と軽く会釈して普通にお屋敷に入ろうとしたけれど、やっぱり止められた。

「ここは立ち入り禁止だ」
「あの……ここはわたくしのお屋敷ですの」
「私のだと? 何を召使い風情が!」
「騎士団さま、このお方はルイ家ご令嬢のララコスティさまですよ!」
「そんなわけないだろう。お前たち、どうも怪しいな……おい、捕らえろ!」
「ええっ⁈」

ワーッと騎士団がわたくしたちに襲いかかった。腕を掴まれ縄で縛られそうになる。

「ちょっと、何をなさるの!」
「放せよー!」

その時だった。

「手を放しなさい!」

お屋敷の庭から素敵なドレスを纏ったお嬢さまが大声で叫んでいる。

「私の姉ですよ! 無礼者!」
「ア、アヤーナ!」

あれはまぎれもない、わたくしの妹! 妹よーっ!

騎士団に動揺が走った。

「アヤーナさま? 本当ですか⁈」
「そう、姉はお屋敷に戻られたのです」
「し、しかし……それならばなおさら」
「私が責任を取ります。いいから放しなさい!」

騎士団がしぶしぶわたくしたちを解放する。同時に門が開いて、お屋敷へと急いで逃げ込んだ。

「お姉さま、ご無沙汰です!」
「アヤーナァ! うえーん!」

妹を抱きしめながら、わたくしは泣いてしまった。

「お姉さまったら。うふふ」
「ねぇ、どうなっているの? 説明して!」