次の日から、事情を知るアプレンとともに、公務室の掃除を始めた。何か手がかりを探そうと試みたけれど、そう簡単には見つからない。手詰まりを感じたころ、サラーニャに呼び出された。
「ララコスティ、モモシャリーさまがお呼びだ。さっさと来い!」
ふん。サラーニャめ、偉そうに!
「今すぐに参ります」
わたくしは密かに深呼吸して気持ちを整える。そして憎っくきモモシャリーの前で跪いた。
「お呼びでしょうか、モモシャリーさま」
「ああ、ララコスティ。お前に仕事を与えるわ」
「お仕事ですか。どういった内容でしょうか?」
「私たちの婚約パーティーを貴族院の同窓会を兼ねて執り行うの。お前はこの招待状を同級生全員に手渡ししなさい」
手渡し⁈ 同級生ってざっと三十人はいるわよね、お屋敷すべて回るなんて超面倒なっ!
「かしこまりました」
ん? 待てよ。これって宮殿からお外へ出られるのかしら⁈
「期間は三日。必ず本人へ手渡しするのよ。あ、そうそう。お前、記憶喪失だから住所をそこへ記してあげたから」
「はい。ご配慮ありがとうございます」
「それと、そのボロ服で行きなさい。何か聞かれたら『ゼアス家の召使いです』って言うのよ。いいこと?」
なるほど。落ちぶれたこのララコスティを見せたいってわけね。ふん、やることが陰湿だわ。
「かしこまりました、モモシャリーさま」
***
わたくしは招待状を持って宮殿を後にする。久しぶりの外出にテンションが上がった。
「あー、空気が美味しいわ」
「いい天気ですね、ララコスティさま」
「アプレン、付き合ってもらってありがとう。でも一人で大丈夫ですわ」
「ダメです! 一人で行かせるわけにはいかないよ。僕は貴女の護衛をするんだ」
「うふふ、頼もしいこと。じゃあ、お願いしようかしら」
さて、どこから行こうかな。宮殿の近くにはたくさんの同級生がいるの。とは言っても、こんなボロ服でお会いするのは気が引ける……。とりあえず、わたくしの境遇をご存知の方、つまりあの婚約(破棄)パーティーに参加されてた方々から訪問しよう。今の自分を説明するのも面倒だしね。
まずは一軒目。伯爵家の立派な門構えに立ち、召使いを通じて同級生をお呼びいただく。彼女はモモシャリーと通じているお嬢さま。わたくしを見るやいなや明らかに軽蔑の眼差しで接してきた。
「あら、ララコスティさま……いえ、ゼアス家の召使いが何のご用かしら?」
わたくしは笑顔で招待状を差し出しながらご挨拶をする。
「この度、貴族院の同窓会を兼ねてモモシャリーさまの婚約パーティーを催したいと存じます」
「……大体のことは知ってますわ。それにしても貴女はとことん落ちぶれたわね。おーほほほほ」
ふんっ! 初っ端からムカつくわね! ……いえ、今は我慢、我慢なの!
「是非ご出席くださいますよう、お願い申し上げます」
「ララコスティ、モモシャリーさまがお呼びだ。さっさと来い!」
ふん。サラーニャめ、偉そうに!
「今すぐに参ります」
わたくしは密かに深呼吸して気持ちを整える。そして憎っくきモモシャリーの前で跪いた。
「お呼びでしょうか、モモシャリーさま」
「ああ、ララコスティ。お前に仕事を与えるわ」
「お仕事ですか。どういった内容でしょうか?」
「私たちの婚約パーティーを貴族院の同窓会を兼ねて執り行うの。お前はこの招待状を同級生全員に手渡ししなさい」
手渡し⁈ 同級生ってざっと三十人はいるわよね、お屋敷すべて回るなんて超面倒なっ!
「かしこまりました」
ん? 待てよ。これって宮殿からお外へ出られるのかしら⁈
「期間は三日。必ず本人へ手渡しするのよ。あ、そうそう。お前、記憶喪失だから住所をそこへ記してあげたから」
「はい。ご配慮ありがとうございます」
「それと、そのボロ服で行きなさい。何か聞かれたら『ゼアス家の召使いです』って言うのよ。いいこと?」
なるほど。落ちぶれたこのララコスティを見せたいってわけね。ふん、やることが陰湿だわ。
「かしこまりました、モモシャリーさま」
***
わたくしは招待状を持って宮殿を後にする。久しぶりの外出にテンションが上がった。
「あー、空気が美味しいわ」
「いい天気ですね、ララコスティさま」
「アプレン、付き合ってもらってありがとう。でも一人で大丈夫ですわ」
「ダメです! 一人で行かせるわけにはいかないよ。僕は貴女の護衛をするんだ」
「うふふ、頼もしいこと。じゃあ、お願いしようかしら」
さて、どこから行こうかな。宮殿の近くにはたくさんの同級生がいるの。とは言っても、こんなボロ服でお会いするのは気が引ける……。とりあえず、わたくしの境遇をご存知の方、つまりあの婚約(破棄)パーティーに参加されてた方々から訪問しよう。今の自分を説明するのも面倒だしね。
まずは一軒目。伯爵家の立派な門構えに立ち、召使いを通じて同級生をお呼びいただく。彼女はモモシャリーと通じているお嬢さま。わたくしを見るやいなや明らかに軽蔑の眼差しで接してきた。
「あら、ララコスティさま……いえ、ゼアス家の召使いが何のご用かしら?」
わたくしは笑顔で招待状を差し出しながらご挨拶をする。
「この度、貴族院の同窓会を兼ねてモモシャリーさまの婚約パーティーを催したいと存じます」
「……大体のことは知ってますわ。それにしても貴女はとことん落ちぶれたわね。おーほほほほ」
ふんっ! 初っ端からムカつくわね! ……いえ、今は我慢、我慢なの!
「是非ご出席くださいますよう、お願い申し上げます」