「想乃さん、お疲れ様でした。とっても良い演奏でしたよ」

「本当ですか……!?」

「ええ。練習の成果も出ていましたし、それに想乃さんらしい音色でした」

凛也さんの言葉に私はつい「やった!」と言葉が溢れてしまった。

凛也さんの顔を見て、やっと現実に戻れた感覚がした。

その時、近くにいた人が私に声をかけてくれる。

「先ほど演奏していた人ですよね?素敵な演奏でしたよ」

「ありがとうございます……!」

私がその人と話しているのを、凛也さんが嬉しそうに見ている。

私が話し終えると、凛也さんが私の肩をトントンと叩いた。

「想乃さん、一緒に帰りませんか?」

凛也さんの言葉に私は「はい!」と笑顔ですぐに返事をしてしまう。

きっとまだ演奏を終えたばかりで気分が上がったままだった。

家が隣同士なのだから一緒に帰るのも不自然ではないはずなのに、私はその凛也さんの言葉で自分の顔が赤くなったのが分かった。