翌日の練習は集中出来ないかと思ったが、凛也さんのレッスンが厳しくてそれどころじゃない。

「そこまた間違っています。バーでの演奏まで時間がないことを常に頭に入れておいて下さい」

「すみません……!」

しかし、本番まで時間がないことを意識すればするほど、焦ってミスが多くなってしまう。

「想乃さん、ミスがまた増えて……もしかして、プレッシャーに弱いタイプですか?」

「え、はい……」

「なるほど」

「すみません、良くないですよね。気をつけます」

「まさか。そんな人沢山いますよ。どうすれば想乃さんが今までで一番良い演奏を出来るか考えていたんです。プレッシャーを与えて緊張感を高める方法は向いてなさそうですね……では、こうしましょう」

凛也さんが私に視線を向ける。