その日の夜に、私はいつも通り凛也さんの家に行った。

「今日は疲れているだろうからレッスンはお休みでいい」と言ったのに、凛也さんは「気にしないで下さい。レッスンは出来ます」と折れなかった。

「想乃さん、コンサートはどうでしたか?」

「もうとっても素敵でした!」

私はつい興奮して勢いよく答えてしまう。

凛也さんがそんな私を見て、いたずらっ子のように笑った。


「そんなに『私の演奏』が良かったですか?」


「はい!」


「っ!」

「凛也さん?」

何故か凛也さんが恥ずかしそうに顔をパッと逸らした。

しかし、すぐに表情整えてこちらを見る。