「──急に頼んじゃって悪いね」
「大丈夫ですよ。届けておきますね」
「失礼しました」と会釈し、職員室を後にした。
「おかえり。なんだった?」
「青倉にプリントを届けてほしいって。なんか、来月部活で合宿やるみたいで」
ざっくり説明して、預かったプリントをバッグにしまう。
呼び出し主は1年生の時の体育の先生で、青倉が所属している部活の顧問だった。
用件は、来月に合宿を行うらしく、その書類を届けてほしい、と。
本人が復活するまで待つつもりだったのだけど、青倉の家が共働きだったのを思い出して、早めに伝えることにしたのだそう。
怒られなくて良かった。
けど……。
「青倉から、私に届けさせるようお願いしたんだって。ちょうど今、青倉の家の近くに住んでるから」
「なるほど。だから呼ばれたのか」
できれば、放送じゃなくて、担任を通して伝えてほしかったな。
不満を呑み込んで、逃げるように学校を出た。