その週末。家で昼食を取った後、母の車で居候先へ向かう。



「へー、結構近いんだね。こっち行くとどこに出るの?」

「小学校の近く。新しくコンビニできたって言ってたところの通り」

「あー、あそこね。銀行あるところだっけ」



両側に連なる一戸建てを眺めながら住宅街を進む。


この地域はスーパーやコンビニ、書店、飲食店などが密集しており、私も母もよく訪れている。


母いわく、友人宅から高校までは自転車でおよそ10分。徒歩でも通える距離とのこと。

通学時間が三分の一に短縮したのは地味にありがたい。



「ところでさ、その同い年の男の子って誰なの?」

「あれ? 言ってなかったっけ?」

「ないよ。同じ学校の人ってことしか聞いてない」



左折したタイミングで尋ねると、「あらごめんね〜」と苦笑いで謝られた。

父と家のことで頭がいっぱいで、既に伝えた気になっていたそう。



「誰? 私の知ってる人?」

「多分。中学受験したって言ってたから」