「この前、好きな人と水族館に行ったって話したの、覚えてる?」

「覚えてる。何か進展あったの?」

「いや……それが、最近停滞気味で。話しかけてもあんま目合わせてくれなくなっちゃってさ」



ポンパドールヘアが定番スタイルのリョウキは、小学校時代からの親友。

見た目はチャラいが、性格は真面目で優しく、頼れる兄貴肌。

毎回的確な助言をくれるので、悩んだ時は真っ先に相談している。

あ、もちろん同居のことは秘密でな。



「あらまぁ。心当たりはあんの?」

「……一応」



今回リョウキを呼び出したのは、他でもない、英との関係についてだ。

今月に入ってから、心なしか距離を取られているような気がして。ややぎこちない空気が流れている。


原因は、多分……。



「わかってんだよ。『俺何かした?』って聞けばすぐ解決するって」

「でも怖くて聞けねーんだな」

「そうなんだよ……! 聞いてさらに気まずくなったらって考えたら……っ」