人間性が好き。人柄がいいのは認めてる。

事あるごとにそうやって強調し続けてきたのは、トラウマから自分を守るためだった。


本当の気持ちは、心の奥底に押し込めて。
もう2度と傷を負わないように。

無意識に、ブレーキをかけていたんだ。



「ありがとう。元気出た」

「ふふっ、良かった。さぁて、ちゃちゃっとご飯食べて、校内の美味しいものを食べ尽くしに行くか!」



食欲旺盛な彼女に自分も笑みがこぼれる。

ありがとう。瀬那が友達で本当に良かった。


お腹が六分ほど満たされた私達は、デザートを求めて校内を回り始めた。



「あ、青倉くん発見」



足を止めて中庭に目を向けると、コーヒー片手に男の人と談笑する彼の姿を見つけた。

私服を着ているから、他校の友達っぽい。



「そういえば、青倉くんの浮いた話って聞いたことないね。取材来るほど人気なら、1つくらい噂流れてもおかしくないのに」

「確かに……」