先生と談笑する彼を一目睨み、陳列棚からパンを数個手に取って代金を払う。


目が合っただけで心臓が鳴りまくりの私。

一方相手はというと、ご覧の通り、気にも留めていない様子。


……やっぱり、覚えてないんだな。


目が覚めた時点でいつもと違うって気づくはずなのに、結局今日も何1つ言及してこなかった。


一発ガツンと言ってやりたい。
けど真相を伝えると逆に気まずくなっちゃう。

観察眼は鋭いくせに、こういうところは鈍いんだからっ。


昼食を購入後、瀬那と2人で隣の空き教室へ。



「いただきま〜す」

「いただきます」



席に座り、カレーパンにかぶりついた。


外はサクサク、中はまろやかな甘口カレーパンは、駅チカのパン屋さんから仕入れたもの。

ファンである担任の先生いわく、休日は開店前から並ばないと即完売してしまうほどの人気なんだとか。


買えて良かった〜と喜びと一緒に味わっていると、「ねぇ希歩」と瀬那が口を開いた。



「青倉くんと、何かあった?」