まるで引き止めるように、お腹をガッシリとホールドされた。


……いや、違う。この感覚は、もしや……。


だんだん目が覚めてくるにつれ、背後にくっついている温もりが鮮明になっていく。

夢であってほしいと願いつつも、恐る恐る後ろを振り向いてみたら……。



「あ、あお、くらっ。起きてっ」

「んんん……」



お腹に回っている腕を叩くも、もぞもぞと動くだけ。

さらに身体が密着して、全身がビクンと揺れ動く。


ねぇ、なんで? どうして私の布団にいるの? 離れて寝てたよね?

寝相悪くて転がってきたの? それとも怖い夢見ちゃった?


起動したての頭で原因を考えていると……。



『独り占めしたかったんでしょ? 希歩ちゃんのこと』



なぜか梨子ちゃんの声が脳内で再生された。


いやいやいやっ、あれは梨子ちゃんの妄想よ。青倉も気にしないでって言ってたじゃない。


第一、私を独り占めする理由が──。



「はな、ぶさ……」