「……かっこ悪いよな。たかがGごときで」



体ごと横を向いて、天井を見つめる青倉に声をかける。



「そんなことないよ。誰だって得意不得意あるんだし。小さい頃から、苦手なの?」

「……うん。っていっても、元から得意ってわけじゃなかったけどな」



体勢を変えた青倉と向かい合わせになった。

視線がぶつかり、胸がドキッと音を立てる。



「小学生の頃、昼寝から起きたら目の前にいたんだよ」

「この、距離で?」

「ううん、もっと近く。このあたりで、こんなふうに俺の顔見てたんだ」



抱き枕で顔を隠そうとしたが、余計に恥ずかしくなりそうだったので我慢することにした。

彼が言うには、リビングでお昼寝中、カサカサという音で目が覚めたら、目と鼻の先にいたのだそう。



「慌てて起き上がった瞬間、飛びかかってきてさ。間一髪避けたけど、もう声枯れるんじゃねーかってくらい叫んだ。あれは断末魔の叫びといっても過言じゃないよ。うん」

「それはトラウマになってもおかしくないね……」

「だろ? それ以来、名前聞いただけでゾワゾワするようになってさ。しばらくテレビ観れなかったんだよね」