「というわけなので、デートではありませんっ」

「もー、なんだよっ。それなら早く言ってくれよ〜」

「それはあんたらが口を挟む隙も与えず勝手に進めるからでしょ。マジごめん、言葉足らずだったよね」

「ううん。一緒にいたのは本当のことだし」



微笑んでそう言うと、手を合わせて謝る彼女の顔がホッと緩んだ。

はやし立てていたクラスメイト達もそれぞれの持ち場へと戻っていき、教室に平穏が訪れる。


また、助けられちゃった。
さすが、クラスのムードメーカー。

ただその場にいるだけで注目を惹きつけ、魅了させ、空気を一新させる。


委員長に就任して、少しは成長できたかなと思ってたけど……人間性も、人気度も、魅力度も、何1つ敵わないや。


看板作成に参加する彼の後ろ姿を見て、改めて差を実感したのだった。







夜11時。

布団を敷いていると、階段をバタバタと駆け下りる足音が聞こえてきた。


随分慌ただしいな。一体どうしたんだろう。トイレかな?