口を開いたタイミングで教室のドアが開き、顔を向けると、不思議な衣装に身を包んだ青倉が立っていた。



「おおーっ、噂をすれば! ってかその格好どした?」

「隣のクラスから、『衣装余ったから良かったら着ない?』って言われて。貸してもらった」

「あー、そういや隣、焼きそば屋だっけ。そのウィッグも?」

「おぅ。題して、焼きそばパンの妖精」



教卓の前に立ち、「後ろはこんな感じ〜」と1回転した青倉。その瞬間、室内が爆笑に包まれる。

似合いすぎてて吹き出しそうになったけど、話題が逸れた今がチャンスだ。



「で、なに話してたの? 随分盛り上がってたみたいだけど」

「あぁ! 青倉、委員長とデートしたんだよな?」

「聞いたぞ〜。水族館に行ったって」



訂正しようとしたが、先を越されてしまった。

「へ?」と素っ頓狂な声を上げた彼とパチッと目が合う。


ごめん青倉! ちょうど今説明しようとしてたところで……! 嘘を言いふらしてたわけじゃないんだよ……!