そう言われれば、青倉の住むエリアの小学校も、隣の学区に当たる。

異動先、青倉の学校だったんだ。
周りに小学校がたくさんあったから、てっきり別の学校だと思ってたよ。



「よく前髪上げてなかった? こんなふうに、可愛いピン留めてさ」

「上げてた! たまにアニメキャラのヘアピンもつけてたよね!」



一瞬にして緊張が吹き飛び、激しく反応する。

話を聞く限り、見た目は昔と変わっていなさそう。

差し支えなければ、今度卒業アルバムを見せてもらおう。



「大平先生マジ優しいよな。まさに教師の鑑。教室であいつが出た時、正々堂々と戦ってたのを思い出すなぁ〜」

「あいつ、って?」

「英のお父さんが怯えてたやつ。大掃除の時間に出てきてさ。みんなで追い出そうとしたんだけど、4匹もいたからなかなか上手くいかなくて。そしたら先生が網持ってきて捕まえてくれたんだ」



「こうやって、サクッと」と腕を振って再現する青倉。

名前で呼ばない時点で恐らく苦手なはずなのに、瞳がキラキラ輝いている。


当時の青倉には、まるでヒーローが降臨したかのように見えてたんだな。