ふいうちで尋ねられ、素っ頓狂な声を上げた。



「ううん。いないよ」

「ええっ!? じゃあ、付き合った人は?」

「それもゼロ」

「じゃ、じゃあ、告白は?」

「それも、ゼロかな。あまり男子とは交流してこなかったから、されたこともしたこともないよ」



驚愕のあまり、口をあんぐりと開けている。

青倉は背中を向けていてわからないけど、マジかよ、ってビックリしてたりするのかな。



「でも、好きな人はいたよ」

「どんな人!?」

「小学校の先生。1・2年生の時の担任だったんだ」



切なくも懐かしい記憶を掘り起こす。


今から約10年前。まだ男子が平気だった頃。

その先生は、いつもカラフルなジャージを着ていて、夏場はキャップ、冬場はニット帽を被っていた。


多分、先生の中で1番若かったかな。

髪の毛もゆるくウェーブがかかっててオシャレだったし、よく児童に交じってグラウンドを駆け回っていたから。


今振り返ってみると、イケメンの部類に入っていたと思う。