翌日の昼休み。

昨晩の出来事を話して机に突っ伏すと、「お疲れ様です」と頭を撫でられた。


円らな瞳と黒髪ボブヘアが特徴の彼女は、友人の津野 瀬那(つの せな)。1年生の頃からのクラスメイト。

といっても、私達の学校は中高一貫校なので、高校からではなく中学時代からの付き合い。


瀬那とは受験会場で出会って、隣の席だったのをきっかけに仲良くなったんだ。



「長引く可能性も考えて、一応冬物も何個か持っていくことにしてさ」

「そっか、11月ならちょうど季節の変わり目にあたるもんね」

「そうそう。お風呂から上がった後、クローゼットから服引っ張り出してた」



制服のブレザーに、長袖の体操服に、薄手のコートに厚手のパジャマに……と指折り数える。


前日になってドタバタしないよう、早速昨日から荷造りを始めた。

なので現在、部屋にはキャリーバッグとボストンバッグが置かれており、父の部屋ほどではないが散乱した状態になっている。