耳に届いた声に、2人揃って口をつぐむ。


この声のトーンは、もしかして、梨子ちゃん?

……いや、この時間帯は既に寝ているはず。


お風呂済ませて和室に戻る途中、『おやすみ』って言って2階に上がっていったの見たもん。



「青倉、どっか、隠れられない? あそことか」

「えええ、無理だよ。俺分厚いし。押し入れのほうが……」

「ダメだよ、開けたら音聞こえちゃう」



慌てて立ち上がり、小声で「できるだけ平たくなって……!」と畳まれた布団の陰に追いやる。


夢中になるあまり、時間を確認するのをすっかり忘れてしまっていた。


壁掛け時計が指している時刻は、12時15分。

テスト前とはいえ、深夜に2人きりでいるなんて知られたら……。



「希歩ちゃん? 起きてる? ごめんね、開けるよ」

「っは、はいっ!」



青倉を掛け布団で隠し、その上にイルカの抱き枕を置いて、急いでふすまに向かった。



「あらら、起きてたの」

「すみませんっ。ちょっと、友達と電話してまして。うるさかったですか……?」