お風呂を済ませたその夜。

昼間と同様に2人で和室のちゃぶ台を囲み、行書が印刷されたプリントに赤ペンで読み方を書き込む。



「サンキュー。マジ助かった」

「いえいえ。他に見ておきたいところはある?」

「あー、じゃあ、漢文のとこ、いい?」

「了解。私も、物理確認させてもらっていいかな? まだちょっと怪しいところがあって」

「おぅ。いいよー」



プリントを片づけて、今度はノートを開いた。

赤ペンで丸をつけた部分を中心に、1つずつ確認していく。


夜11時。普段ならテストに備えて消灯している時間帯。

なんだけど、ちょうど明日、お互いに苦手教科のテストが行われるということで、最終確認をしている。



「──今日は、梨子がごめんな」



一通り復習が終わり、ノートを片づけながら顔を上げると、眉尻を下げて笑う青倉と目が合った。



「あいつが言ってたことは気にしなくていいから」

「ポイント稼ぎって、言ってたこと?」



尋ね返すと、「う、うん……」と気まずそうな返事が。拾われたくなかった箇所だった様子。