あ、気づいてたんだ。

彼女の言う通り、今週は毎日ノートを見せ合っては苦手分野を教え合っている。



「っ、いや、それは、テスト前だからで……」

「それにいつの間にか名字呼びになってるし? 希歩ちゃんが来てから急にお手伝いするようになったから、怪しいと思ってたんだよね〜」

「だからそれも元から……っ」

「わかるよ〜。優しいし頭いいし美人さんだし。少しでもかっこいいところ見せてポイント稼ぎたいよね。うんうん」



口が止まらない梨子ちゃん。

青倉の顔がみるみる赤くなっていく。


また勝手にバラしやがって。英を困らせるなよ。

という怒りの感情からなのか。


それとも、本当に……。



「──『今までかっこつけてはぐらかしてたけど、俺、ほんとはお前に振り向いてほしかったんだ』なーんて告白して、愛の、口づけを……」

「はいはいはい、妄想を繰り広げるなら自分の部屋でしてくださいねー」



とうとう限界に達したらしい。

青倉はイルカの抱き枕を使って実演する梨子ちゃんをひょいと持ち上げると、「次入ったらあのことバラすからな」と脅して退室させた。