ココア味のクッキーを味わいながらチラッと隣を見ると、不服そうな顔でグラスにお茶を注いでいた。



「わー、アルファベットがいっぱい。これどうやって解くのー?」

「あぁ、それはね……」

「おい、お菓子持っていくだけって言っただろ」

「いいじゃん、休憩中なんだし」

「だからこそだよ。せっかく一息ついてたのに、1から教えてたら英が休めないだろ」



険しい顔でお茶を配る青倉に、梨子ちゃんがムスッと口を尖らせる。

はははっ、やっぱりまた揉めたんだな。


喧嘩する2人を微笑ましく眺めていたら、何かに勘づいたのか、梨子ちゃんが「ははーん」と怪しく口角を上げた。



「もう、お兄ちゃんったら。そういうことなら早く言いなよ」

「は? そういうことって何」

「独り占めしたかったんでしょ? 希歩ちゃんのこと」



クッキーを口に運ぶ手を止めて、目を丸く見開く。



「素直じゃないなぁ〜」

「は、はぁぁぁ!? んなわけねーだろ!」

「ええー? 家でもやたら絡んでるじゃん。学年10位のくせに『ノート見せて』ってここ最近毎日お願いしてるし。昨日の夜も、かばんごと持って和室に入ってったのバッチリ見たんだからっ」