「青倉、この4番の問題って解いてる？」

「んー？　あぁ、解いてるよ」

「ほんと？　良かったら解き方教えてくれない？　途中までしか解けてなくて」

「いいよー」



和室のちゃぶ台を囲み、青倉の解説のもと、数学の問題を解いていく。


青倉家で過ごし始めて丸1週間が経った、日曜日の午後。

今日はテスト前日なので、気合いを入れて朝9時から勉強会を行っている。



「ありがとう、助かりました」

「いえいえ〜。この問題ややこしいよな。俺も珍しく手こずって先生に教えてもらったもん」



サラリと言ってのけた後、「簡単な問題が出ますように〜」と学校のある方角に向かって手を擦り合わせ始めた。


へぇ……青倉も行き詰まることあるんだ。


先生に当てられてもスラスラ答えてるし、クラスメイトにもよく勉強教えてるし。

その分陰で努力してるんだろうけど、勝手に順風満帆な人生を送っていそうと思っていたから、ちょっと意外だった。

人は見かけによらないんだなぁ。