「朝はしっかり説明してたから何もなさそうだったけど……昼間は、大丈夫だった? 委員長と弁当お揃いじゃんとか、からかわれなかった?」

「うん。人まばらだったし。詮索もされてないから大丈夫だよ」



ホッと胸を撫で下ろす。


私にとってはクラスメイトでも、みんなにとってはアイドル的存在。

中には密かに憧れを抱いている人もいるかもしれない。


今回は青倉のフォローで無事に乗り越えられたけれど、同じ教室で過ごす以上、また起こる可能性も充分あり得るから。

イメージを壊さないよう、今後はより一層気を引き締めていかないと。



「──なぁ、いいんちょ……って、家でも委員長だとリラックスできねーよな。名前で呼んでいい?」

「うん……いいよ」



いちいち許可取らなくても、1学期の時は名字呼びだったじゃん。

なんて返す気力もなく、だんだん口数が減っていく。


短時間睡眠のツケが回ってきたのかな。

体調管理もまともにできない委員長でごめんなさい……。



「英は──……って、いる?」

「んー……んんっ……」



ふわふわ、ウトウト。

徐々に意識が薄れていき、青倉の声と虫の演奏が遠のいていく。



「──おやすみ、希歩」



夢の世界に落ちる寸前、優しい温もりが頭を撫でた感覚がした。