「あぁ、うん。登校中に声かけられて。同じクラスですって言ったら、届けてくれない? って言われてさ」



「ビックリさせてごめんな」と青倉が謝ると、まるで安堵したように張り詰めていた空気が和らいだ。


いやいや、謝るのは忘れていった私のほうだよ。機転を利かせてくれてありがとう。

そう感謝しながら弁当箱と水筒をスクールバッグにしまった。


──だが、安心するのはまだ早かった。



「やっと終わったぁ〜。もうお腹ペコペコ〜」

「あはは。3時間目からグーグー鳴りまくってたもんね」



午前の授業が終わり、お待ちかねの昼食タイム。

瀬那と机を向かい合わせにして、巾着袋から弁当箱を取り出す。



「やったぁ、グラタンだ。美味しそう〜」



一口サイズのグラタンを見て頬を緩ませる瀬那。

好物が入ってて良かったねと微笑みつつ、自分も弁当箱を開ける。


定番の卵焼きに、タコさんウインナー、ミニトマト、冷凍食品のコロッケ。

秋恵さんにお願いして、今日は英家流のだし巻き卵を作らせてもらったんだよね。