あれこれ想像を巡らせていたら睡魔が襲ってきたので、まぶたを軽く閉じて仮眠を取る。



「──……ちょう。委員長っ!」



突然腕を掴まれて、ハッと目が覚めた。



「ごめん、寝てる時に」

「ううん。何か、用事でもあった?」



慌てて姿勢を正して尋ねる。
すると、青倉は肩にかけたトートバッグを漁り始めて……。



「弁当忘れてたよ」



机の上に見覚えのある巾着袋と水筒が置かれ、ざわついていた教室が一瞬にして静まり返った。


目を丸く見開いて固まる私。

そんな私の様子を見た彼も、やらかしたことに気づいたようで、「あっ……」と小さく声を漏らした。



「あ、あぁ……あり、が、とう」



なんとか平常心を保とうとするが、動揺は隠せず。


ありがとう青倉。おかげで午後を空腹で過ごす羽目にならなくて済んだよ。本当にありがとう。


けど……ここ、家じゃなくて教室だから……!

すっごくありがたいけど、そこはせめて廊下で渡してくれよ……!



「えと……お母さんから、受け取ったの?」