クラスメイトがぞくぞくと登校してくる中、頬杖をついて黒板の横の時間割表をぼんやり眺める。


一夜経って冷静になってみても、やっぱり現実味が湧かない。

寝不足が引き起こした幻聴だったのではないだろうかと考えてしまう。


だって、「寝つくまで一緒にいるよ」って、ハッキリ言えば「添い寝してあげるよ」という意味。

添い寝って、親と子ども、カップルや夫婦みたいな、主に親密な関係の人達がするやつだと思っていたから。


青倉が親切で頼もしいのは認めてる。


けど……私達はただのクラスメイト。

毎年お互いの家に泊まる関係の瀬那とでさえ、そんなことしなかった。


だから最初は、不安を緩和させるための冗談だと捉えていた。


でも、青倉は至って真剣な様子で──。



『照明使うのもいいかもだけどさ、取りに行くの大変じゃない? 家まで何分くらいかかるの?』

『だいたい、30分くらい』

『ならざっと往復1時間か。荷物置いてからだと5時は過ぎるよな。かといって学校から直行だと帰ってくる時クタクタになりそうだし』