同じ学校の生徒で、異性で、中学時代から一緒のクラスメイトで。


その上──。



「青倉ーっ、この3番の問題ってどの公式使った?」

「んー? あぁ、それは1番長いやつだったかな。一応解いてるけど見る?」

「見る! 見せて見せて!」



視線を斜め前に移し、クラスメイトの男子に数学のノートを見せる彼を眺める。


飾らず明るい性格の青倉。

その人柄は校内でも人気を博しており、全学年に名が知られている。

先日行われた体育祭でも、青倉の出番の時は一際声援が大きかった。


成績も優秀で、こないだの学力テストは学年10番だったかな? あと何気に顔も整ってるし。


口に手を当てて再びあくびをする。


瀬那を信じてないわけではない。
だけど、この教室には30人近くの生徒がいる。


1人にバレてしまえば、そこから話が広がって他のクラスに……なんてことも、絶対起こらないとは言い切れない。


不安を消すなら徹底的に消すほうがいいと思い、この設定に至った。