「希歩ちゃん、ごめんね」

「ううん。毎朝他の人のアラームで起こされるのは、あまりいい気分しないよね」



気持ちはすごくわかる。
うちのお父さんもアラーム鳴ってもぐーすか寝てたから。



「ただ、1人で起こすのは気が引けるから、一緒にならいいよ」

「ほんと!? ありがとう!」



しょんぼり顔から一変し、瞳をキラキラさせる梨子ちゃん。その隣で、「マジかよ……」と彼が青ざめた顔で呟いた。



「お手柔らかに、お願いします……」

「う、うんっ」



こうして、賑やかな青倉家での生活がスタート。

した、わけなのだが……──。




「──ほ……希歩っ」



トントントンと机を叩かれて、ハッと我に返った。



「な、何?」

「和訳、書かなくていいの?」