父の様子を話す母の隣で静かにお茶を飲む。


だいぶ濁してるけど、なんとなく正体を察したのだろう。秋恵さんも青倉のお父さんも、「それは一刻も早く助けに行かないと」と口を揃えて激しく頷いている。


悪臭って……もうそれどこかでわいてるんじゃないの? キッチンの下とかさ。

あぁ、想像しただけで鳥肌が……。


恐怖を和らげるようにお茶をグビグビとのどに流し込む。

すると、「あ、そうだ」と秋恵さんが話を切り出した。



「希歩ちゃん、この前は大丈夫だった?」

「この前、って?」

「月曜か火曜のお昼だったかな。涼馬と電話してたんだけど、『ごめん委員長!』って聞こえてきて……」



電話と聞いて、自習の日を思い出した。

あの時お母さんと話してたんだ。まぁ、あの声量なら聞こえててもおかしくないか。



「何か、やらかしちゃった?」

「いえ。ちょっとぶつかっただけです。むしろあの日は仕事を手伝ってくれたので、涼馬くんには感謝しています」

「そう? なら良かった。涼馬、今度からは気をつけるのよ」

「……ん」