耳元で話してくるせいで、下がるどころかぐんぐん上昇するばかり。おまけに心臓も早鐘を打ち始めた。

ううっ、ダメだ。これ以上はもう……っ。



「そうだ。大平先生に報告する? 『俺達付き合いました!』って、年賀状で」

「ええっ!?」



思いっきり声を張り上げて後ろを向いた。

振り向かれると思ってなかったのか、あっちも目をまん丸に見開いていて……。



「っ……ごめんっ」

「いいよ。ちょっと掠っただけだし」



うつむいて口を手で覆う。

大声を出してしまったから、という意味でもあるけれど……まさか、唇が当たってしまうなんて。

すると、頭上からふふふふっと笑い声が降ってきた。



「そんなに落ち込まないでよ。別に嫌じゃなかったし。むしろ、ラッキーだったというか……」

「えっ……?」



恐る恐る見上げた先には、顔を真っ赤に染めた端正な顔が。

「それ、どういう意味?」と尋ねる余裕もなく、両手で頬を包み込まれると……。



「……して、いい?」

「……うん」

「ん。ビックリして大声上げんなよ?」

「っ、しないって……!」



青倉は意地悪な笑顔で念押しすると、小声で言い返した私の唇を優しく塞いだ。



END