お互いに目まん丸にして固まって……あれほど気まずい瞬間は人生で初めてだったよ。



「お兄ちゃんばっかりずるい。私も繋ぎたい」

「いいよ。こっち繋ごっか」

「いいの? やった!」

「はぁ、ったくもう……」



空いているほうの手を梨子ちゃんと繋ぎ、そのまま公園へ。

童心に帰り、みんなで園内を駆け回って遊んだのだった。







「──英、このへんの荷物、先に廊下に出しといていいか?」

「うん。ありがとう、お願いします」

「お兄ちゃん、この棚は?」

「あー、それは後で運ぶから置いといていい」



散歩から帰宅後、3人で和室を慌ただしく動き回る。

1人で掃除するつもりだったのに、『俺らも一緒に過ごしたから』と、お手伝いを申し出てくれて。

最後の最後まで、お世話になってしまった。