さっきと同じ声量で言ったにも関わらず、親切にタイプまで答えてくれた。

うん、これ絶対聞こえてるな。



「もう、アホ倉っ。私も好きだって言ってるでしょ」

「ごめんごめん。顔真っ赤にして頑張ってる姿が可愛くって、つい」



ペシッと腕を叩くが、それさえも彼には愛おしく見えているようで、ノーダメージ。

小っ恥ずかしい情報を教えないでよ……。



「ありがとう英。俺と、付き合ってくれませんか?」

「……はい。もちろん」



口を尖らせつつも、差し出された手を取って申し出を受け入れた。

しばらく笑い合っていたらチャイムが鳴ったので、やや急ぎ足で教室に向かう。



「そういえば、最後、何か囁いてたよね? あれ、なんて言ってたの?」

「あぁ。『俺の愛犬にビビって逃げたことバラすからな』って。足元に来た時、顔青ざめてたから」



衝撃の内容にまたもや目を見張る。


犬が苦手だったなんて……初耳。

じゃああの時梨子ちゃんじゃなくて、キュルくんに対してオロオロしてたのか。



「もしまた絡まれたら、遠慮せず頼ってよ? 彼氏なんだし」

「うん。わかった」



教室のドアの前に立ち、一緒に入室。

「付き合うことになりました!」と伝えると、クラスメイト達から「おめでとう!」と大拍手で祝福されたのだった。