気持ちが伝わったことがわかると、ふくれっ面がゆるゆるの穏やかな笑顔に早変わり。


こんなにも一途に想われていただなんて。

もしかすると、時折口にしていた冗談も、彼なりのアピールだったのかな。


想いを知った上でこれまでの日々を振り返ってみると、なんだか照れくさくなる。



「あのっ、私も……」



トクントクンと胸が高鳴りだす。

言わなくちゃ。
「私も好きです」って、返事しなくちゃ。



「ん?」

「わた、しも……っ」



だけど、身体中に緊張が走っているせいか、途切れ途切れでしか出てこない。

顔を近づけてきた青倉から逃げるように、視線をネクタイに移す。



「……が、好き……っ」

「え? なんて?」

「……くらが、好きっ」

「聞こえないなー。誰が俺を好きって?」

「……」



口を一文字に結んで見上げてみたら、ゆるゆる笑顔がデレデレの笑顔になっていた。



「……青倉って、好きな子に意地悪したいタイプ?」

「え? 違うよ。一緒にガハガハ笑い合いたいタイプ」