「だよな。何か事情があるのかもしれねーし。誰かに危害加えてるならあれだけど、めちゃめちゃ平和だもんな」

「俺らの委員長をいじめるなー!」



瀬那を筆頭に次々に反論する生徒達。


さっき声をかけたおとなしめの女子に、水族館ファンの男子といった、現クラスメイトから。

共に受験を勝ち抜いた、中学時代の元クラスメイトまで。


心強いたくさんの味方に込み上げてくる涙をこらえていると……。



「なになに? どうしたの?」



彼らが一斉に振り向いたのは、全員、声の主をよく知っているから。

修羅場の空気感だとはつゆ知らず、朝練を終えたばかりの青倉が私達のもとにやってくる。



「あれ? 委員長?」

「あお、くら……っ」



はじめは首を傾げていたものの、隣にいる彼を見るやいなや、表情を曇らせた。

握りしめていた張り紙を恐る恐る渡すと、途端に目の色を変えて……。



「お前さ、高校生にもなってプライバシーって言葉知らねーの?」