乱暴に吐き捨てて、スマホ画面を見せてきた。

映っているのは、なんと実家の外観。

住所は一切教えていないのに……。



「まぁ、勝手に撮ったのは悪かったよ。でも……年頃の男女がひとつ屋根の下で暮らすって、風紀的にどうなんですかねぇ?」



ゾワゾワと全身が悪寒に襲われているけれど、唇を噛みしめて耐え忍ぶ。


怯むな。この男は私が悔しがる姿を見たいんだ。

あの手この手を使って私の評価を落とし、自分が優位に立つことが目的。


こんな性悪な付きまとい野郎……いや、ストーカー野郎なんかに、絶対に負けるもんか。


とはいえ、決定的証拠を突きつけられているこの状況で、どうやって覆せばいいのか……。



「ふざけないで……!!」



突如背後で上がった叫び声に、ビクッと肩を震わせる。



「散々希歩を苦しめておいて、なにが風紀的に? 圧倒的にあなたのほうがどうかしてるよ!」

「そうだよ! 家に入ったってだけで決めつけるなんて……っ!」

「っていうか、仮に一緒に住んでたとして、何が問題なわけ?」