ちょうどそばにいたクラスメイトの女の子に声をかけてみたら、怯えたような表情で私の名前を呼んだ。

動揺しているのか、今にも泣き出しそうな目で私を見ている。


瀬那と顔を合わせ、一緒に人だかりの中へ。

釘付けになっている人々の間をすり抜けて前方に移動し、掲示板を見てみると──。



「っ、なに、これ……」



目に飛び込んできた記事に、声を震わせて立ち尽くす。


【速報! 学校のアイドル 青倉 涼馬は、クラス委員の英 希歩と同居していた!!】


でかでかと太文字で書かれたタイトルの下には、下校中の私と青倉の写真が貼られていた。

それも──青倉の家に入る瞬間の写真が、コマ送りのように横並びで数枚。



「希歩……」



消え入りそうな瀬那の声でハッと我に返った。

沸々と湧き上がる、恐怖と怒り。

感情に任せて、ガラス窓を強引にこじ開ける。


おかしいと思ったんだ。


あれだけ執拗に付きまとっておいて、こんなあっけなく引き下がるなんて。

人の命を危険に晒した人間が、たったあの程度で猛省するわけがないって。