「ごめん……っ」

「いいって。泣きたい時は思いっきり泣いていいんだから」



「1人でよく頑張ったな」と今度は涙を拭ってくれた。その手つきがまた優しくて、さらに涙が溢れ出す。



「なぁ、寝つくまで手繋いでもいいか?」

「うん。いいよ」



ようやく涙が落ち着いたかと思えば、突然のお願い。

一瞬驚くも、寄り添ってくれたお礼として承諾した。


布団から指先だけ出して、手を重ねる。



「英の手、温かいな」

「ふふ、青倉こそ」



青倉の手は、私より一回り大きく、程よい厚みと弾力があった。

やっぱり男の子なんだなぁと実感する。



「恋人繋ぎでもする?」

「えっ」

「ごめんごめんっ! もっと温かくなりそうだなって思っただけだから!」



目を点にして固まる私に、「気にしないで!」と慌てて付け足した青倉。


また和ませようとしてくれたのかな。ほんと優しいなぁ青倉は。

でも、もうちょっと、タイミングを考えてほしかったな。



「もう寝よっか。おやすみ」

「……おやすみ」



せっかく眠気に誘われてたのに。

明日休みだからって、こんな夜中にドキドキさせないでよ。一瞬勘違いしそうになったじゃん。


内心ブツブツと文句垂れていたけれど、泣いて体力を消費したせいか、またすぐ睡魔が襲ってきて。

手の温もりを感じながら眠りに就いたのだった。