現れた中年男性にテンション高めに手を振る母。

恐らく青倉のお父さんなのだろうけど、随分親しげに見える。



「はじめまして。涼馬の父です」

「こちらこそ、はじめまして。英 希歩です。あの、母とお知り合いですか……?」

「はい。富子さんとは高校時代のクラスメイトなんですよ」



なんと大先輩だった。


話によると、青倉のお父さんは高校受験組で、秋恵さんともクラスメイト。

私の父とも大学時代にバイト先を通じて知り合っており、かれこれ20年以上の付き合いなのだと。

父親同士も友達なら安心して預けられるか。


同居にすんなり承諾してくれたことが腑に落ちたところで、早速荷物を運ぶ。



「さ、どうぞどうぞ〜」

「おじゃまします」



ドアを開けてくれた秋恵さんに会釈し、寝具類が入ったトートバッグを抱えて家の中へ。

靴を脱ぎ、ボストンバッグを運ぶ青倉の後を追う。



「あっ、こんにちは」