「どうして避けんの? ってかお前家ここじゃねーよな? いつの間に引っ越したの?」

「おい、やめろ。嫌がってんだろ。一体英になんの恨みがあるわけ?」



詰め寄る彼を制止した青倉が疑問を投げかけた。

すると彼は、ニヤリと不気味な笑みを浮かべたのち、私を指差して……。



「俺はな、こいつのせいで地獄の小学校時代を過ごしたんだよ」



冷酷な目つきで言い放った。

その、直後。



「あ、お兄ちゃん!」



場にそぐわない明るく弾んだ声が住宅街に響いた。

バッと振り返った彼の視線をたどってみると、ランドセルを背負った梨子ちゃんの姿が。


そのすぐ隣には……。



「ただいま〜。あ、希歩ちゃん! おかえり!」

「ただいま。お散歩してたの?」

「うんっ。今日はお兄ちゃんと一緒なんだね」

「部活が休みだったからな」